東京の北東に位置する特別区です。
日暮里・西日暮里・町屋・南千住・三河島・尾久など、山手線や路面電車が走る“下町情緒”と、南千住の再開発に代表される新しさが同居するエリアです。
区名は荒川(Arakawa River)に由来しますが、現在の区境を流れるのは主に隅田川。
これは、洪水対策で造られた「荒川放水路」を1965年の河川法改正で本流=“荒川”と定義し直したためで、歴史的経緯から“荒川区に荒川が流れていない”というユニークな現象が生まれました。
<名称の由来とエリアの成り立ち>
1932年、旧・南千住町・三河島町・尾久町・日暮里町が合併し「荒川区」が発足。
区名は当時区内を流れていた荒川にちなみます。
その後、前述の河川名整理により、旧来の荒川下流は公式に隅田川となりました(現在も区北側は隅田川が境)。
“川の名を受け継ぐ区”という背景が、荒川区のアイデンティティです。
<歴史ダイジェスト>
江戸期:1594年、徳川家康が江戸で最初に架けた橋「千住大橋(Senju Ōhashi)」が完成。奥州へ向かう日光街道の玄関口として栄え、歌川広重の浮世絵にも描かれました。
近代:工業化で町工場や下町商業が発展。日暮里には「日暮里繊維街(Nippori Fabric Town)」が形成され、今も生地・資材の専門店街として国内外の来訪者に人気です。
現在:南千住は大規模再開発で住宅・商業が集積。「LaLaテラス南千住」など商業施設が駅前で暮らしを支えます。
まちのランドマーク:区営の「あらかわ遊園(Arakawa Amusement Park)」は、約3年の改修を経て2022年にリニューアル再開。
観覧車や小動物広場など“親子で楽しめる”都内でも希少な区営遊園地です。
<アクセス(鉄道・空港・路面電車)>
鉄道網がとにかく便利。
山手線・京浜東北線(西日暮里・日暮里)や東京メトロ千代田線(西日暮里・町屋)で都心へダイレクト。
南千住はJR常磐線/東京メトロ日比谷線/つくばエクスプレスが交差し、都心・北関東の双方へフレキシブル。
京成・日暮里からは成田空港へ最短36分の「Skyliner」。海外出張・旅行にも強い拠点です。
残る都電「東京さくらトラム(都電荒川線)」が区内を横断。バラや桜の季節は沿線が彩られ、日常の移動そのものがフォトジェニックです。
日暮里・舎人ライナー(Nippori-Toneri Liner)で足立方面へも一直線。
<道路・橋梁>
区内の幹線は、国道4号(=日光街道)、明治通り、尾久橋通りなど。
千住大橋は現在も国道4号を通し、江戸の北の玄関口らしい景観を今に伝えます。
<見どころ&暮らしの楽しみ>
あらかわ遊園:小さな子ども連れに最適。
観覧車やミニコースター、動物ふれあい、カフェも併設。週末の“近場レジャー”にぴったり。
日暮里繊維街:英語表記の案内も整い、DIY好き・クリエイターの“聖地”。
テキスタイルや副資材をまとめ買いする旅行者も多いスポットです。
公園:区最大の荒川自然公園(Arakawa Nature Park)は「新東京百景」に選定。
交通公園・池・テニスなど設備が充実。
都立・尾久の原公園は湿地の生態系としだれ桜で有名です。
文化施設:ゆいの森あらかわ(中央図書館+吉村昭記念文学館+子ども広場の複合施設)は学びと交流の拠点。
<不動産の視点(暮らしやすさと選び方のコツ)>
価格感:都心3区や山手線内側の一等地と比べると総じて手頃。
ただし山手線・成田アクセスが良い日暮里・西日暮里、再開発の南千住は人気が高く、物件の“動き”が早い傾向です。(相場は変動するため、最新データでのご提案がおすすめです)
街の表情:町屋~熊野前は静かな住宅地と商店街がバランス良く、日暮里~西日暮里は乗り換え利便性重視の単身・DINKsに好相性。南千住は駅前商業(LaLaテラス等)や河川空間の広がりがあり、ファミリー層に人気。
用途地域:準工業地域が点在し住・商・“小さな工場”が混在する区ならではの景観も。物件の前面道路幅や騒音・振動は現地でチェックすると安心です。
防災意識:河川低地を含むため、区は洪水・地震等のハザードマップを公開。購入・賃貸前に物件所在地で浸水・液状化リスクを確認しましょう(英語版3D洪水マップもあり)。
ひとことで言うと…
「都心直結のアクセス」×「下町の温かさ」×「ほどよい価格感」。
荒川区は、日常の動線と週末の楽しみがコンパクトに詰まった、実用派にも“東京ローカル”を味わいたい方にもおすすめのエリアです。