その名のとおり東京23区の北端に位置するエリア。
1947年、旧「王子区」と「滝野川区」が合併して誕生し、候補に挙がっていた「城北」「京北」などを押さえて、位置がひと目で分かる「北区」が区名に決まりました。
赤羽・王子・十条・田端といった鉄道要衝を抱え、昔ながらの商店街や川辺の風景、近代日本を支えた産業遺産がぎゅっと詰まっています。
<由来と歩み>
王子の紙、滝野川のまちから「北区」へ
近代の区名は王子区+滝野川区の合併に由来。東京の“北の中心”を担う意味合いから「北区」に決定しました。
江戸の行楽地として名高い飛鳥山(あすかやま)は、8代将軍・徳川吉宗が庶民のために桜を植えさせたのがはじまり。1873年には日本で最初期の「公園」に正式指定され、現在も春は花見、初夏はアジサイで賑わいます。
明治期には渋沢栄一らが王子に抄紙会社(のちの王子製紙)を設立。王子は日本の洋紙発祥の地となり、今も紙の博物館が飛鳥山公園内でその歴史を伝えています。
<見どころ>
桜の山、英国風洋館、赤い水門と“狐の行列”
飛鳥山公園:園内には「飛鳥山3つの博物館」(北区飛鳥山博物館・渋沢史料館・紙の博物館)。新幹線や在来線が見下ろせる展望デッキも人気です。
すぐ隣の北とぴあ(17階展望ロビー)は無料の夜景スポット。
旧古河庭園:英国人建築家ジョサイア・コンドル設計の洋館と薔薇園、作庭家・小川治兵衛による日本庭園が調和する名園。
旧岩淵水門(赤水門):荒川放水路建設(1924年)に伴い整備された治水施設。現在は役目を終え、鮮やかな赤が川辺のランドマークに。
王子稲荷と“狐の行列”:大晦日に狐たちが装束を整え参拝したという民話が伝わり、今も「王子 狐の行列」が催されます。
音無親水公園:石神井川の旧流路を生かした水辺の癒し空間。都電・JR・メトロの王子駅から徒歩すぐ。
<交通アクセス>
都心直結の“北のハブ”
鉄道
赤羽駅:JR京浜東北線・埼京線・宇都宮線・高崎線・湘南新宿ラインが集まる北の要衝。埼玉・群馬・栃木方面へも直通。
王子駅:JR京浜東北線、東京メトロ南北線、東京さくらトラム(都電荒川線)が交差。
赤羽岩淵駅:東京メトロ南北線と埼玉高速鉄道が相互直通。東京~埼玉を一本でつなぎます。
田端駅:山手線と京浜東北線が乗り入れる北区側の玄関口。
尾久駅:宇都宮線・高崎線系統が停車。隣接の車両基地とともに“鉄道のまち”を象徴。
<道路>
首都高C2中央環状線(王子北出入口ほか)が区内を通過し、都内各方面へスムーズ。
国道17号(中山道)、明治通り(都道305号)、環七通りなど主要幹線が碁盤目に走り、ターミナル間の車移動も良好。
<暮らしと不動産の目線>
赤羽:駅前の「赤羽一番街」や横丁文化が健在。外食・買物の利便性が高く、休日は“はしご酒”も楽しめる賑わいの街。
十条:全長約375m・約180店規模の「十条銀座商店街」は物価が手頃で、日常使いに強い商店街文化が魅力。
王子:飛鳥山の緑、三つの博物館、北とぴあ展望ロビーなど、文化と自然のバランスが良い“文教・観光ミックス”の住宅地。
田端・上中里周辺:山手線・京浜東北線のダブルアクセスが光る、静かな生活ゾーン。
不動産的には、山手線・南北線・JR各幹線の駅近で分譲マンション供給が継続。
内陸の十条・東十条・志茂などは戸建てや低層レジデンスの選択肢も豊富です。
川沿いの開放感も魅力ですが、荒川・隅田川の流域ゆえに各自治体が公開するハザードマップでの確認は、購入・賃借の初期段階からおすすめです。(治水の歴史は旧岩淵水門に象徴)
<産業と学びの拠点>
紙の博物館(王子)で紙の歴史と技術を体験。
渋沢史料館では近代日本経済の父・渋沢栄一の足跡に触れられます。
王子駅周辺には国立印刷局 王子工場や、区の文化施設北とぴあが集積。行政・文化・産業が結節する“北の都心”の顔です。
<こんな方に“北区”がおすすめ>
都心勤務×家賃効率を両立したい(赤羽・王子・田端から主要ターミナルへ直通多数)。
商店街のある暮らしや“せんべろ文化”を楽しみたい(赤羽一番街・十条銀座)。
四季の公園や名園に通いたい(飛鳥山公園・旧古河庭園・音無親水公園)。