東京23区の東端、西を荒川・中川、東を江戸川に囲まれた“水の都”。
川沿いの広い空と、商店街のにぎわいが同居する下町(Shitamachi)の風情が魅力です。区内には柴又(Shibamata)や亀有(Kameari)など全国区の知名度を誇るエリアが点在し、映画・漫画の舞台としても親しまれてきました。
名称の由来(なぜ「葛飾」?)
「葛飾(かつしか)」は、日本最古の歌集『万葉集』にも記される古い地名。語源は諸説あり、「かつ=崖や台地」「しか=低地」を指す地形由来説のほか、つる草(かずら)繁茂説や狩場の方に由来する説などが伝わります。確定説はなく、古代の郡名「葛飾郡」に遡る歴史的地名です。
歴史ダイジェスト
近世〜近代:江戸市街の拡大とともに東部低地の新田開発や河川整備が進展。川運・農業・町場が育ちました。
1932年:東京市域拡大で葛飾区(旧・南葛飾郡の町村)が誕生。
1947年:現行の特別区として再編。
文化面では、柴又帝釈天を中心に門前町が栄え、のちに映画『男はつらいよ』で全国的な観光地に。亀有は『こちら葛飾区亀有公園前派出所』でポップカルチャーの聖地に。
見どころ・文化
柴又帝釈天(Taishakuten/題経寺)
彫刻ぎっしりの仁王門と庭園が名高い、柴又のシンボル。創建は1629年、現在の堂宇は1929年再建。門前の参道は食べ歩きも楽しい!
矢切の渡し(Yagiri-no-Watashi)
江戸川を柴又—矢切間で結ぶ渡し舟。江戸期の生活路にルーツを持ち、今も観光渡船として運航。週末の小舟旅は下町情緒たっぷり。
山本亭(Yamamoto-tei)
1920年代の実業家邸宅。書院造×洋風意匠の和洋折衷建築と日本庭園、喫茶(抹茶やコーヒー)で一服を。英語案内も充実。
水元公園(Mizumoto Park)
都内屈指の水郷景観。ハナショウブの季節は一面が彩りに。ポプラ並木やメタセコイア林も爽快です。
寅さん記念館 & 山田洋次ミュージアム
『男はつらいよ』の世界を体感。柴又散策と合わせてどうぞ。
こち亀ゆかりの亀有
両津勘吉像をはじめ、駅周辺の銅像は15体。2025年にはこち亀記念館もオープンし、街歩きがますます楽しく。
かつしかハープ橋(Katsushika Harp Bridge)
首都高中央環状線のランドマーク。世界初のS字型曲線斜張橋として1987年開通。夜景も美しい。
アクセス(鉄道・道路)
鉄道
JR常磐線:亀有・金町など(東京メトロ千代田線と相互直通の各駅停車系統)。
JR総武線快速:新小岩。都心・千葉方面の要衝です。
京成電鉄:本線・押上線(青砥分岐)、金町線(柴又—京成金町)、成田空港方面へはアクセス特急等が便利(京成高砂経由)。
北総線:成田スカイアクセス線と接続し、空港アクセス良好(京成高砂接続)。
道路
首都高速6号三郷線(小菅JCT起点)で埼玉・常磐道方面へスムーズ。
東京外かく環状道路(C3)・国道298号の開通(2018)で、湾岸・北関東方面との行き来が快適に。
国道6号(水戸街道)、環七通りなど主要幹線が市街地を貫きます。
街並み・建物
帝釈天参道や柴又公園の河川敷は、江戸情緒と川景色の名所。すぐそばの金町浄水場 取水塔は、映画や漫画にも登場するレンガ造の愛らしいシルエットで、地域のランドマークです。
生活・不動産の視点(住みやすさのヒント)
生活利便:亀有・新小岩・金町・青砥などは駅前に大型スーパーや商店街がそろい、日常の買い物がワンストップ。
空港アクセスや都心直結の選択肢も多く、通勤×旅行の両立がしやすいロケーションです。
住宅タイプ:低層の戸建・長屋・小規模アパートから、駅近の中高層マンションまで幅広いストック。柴又周辺は景観と観光のバランスを活かした穏やかな住環境、亀有・新小岩は実用性重視の日常利便が魅力。
将来性:京成押上線(四ツ木〜青砥)の連続立体交差や、立石駅北口の再開発が進行中。踏切解消・駅前空間の再整備で、安全性と回遊性の向上が期待されます。
防災:河川低地ゆえ、洪水・高潮ハザードの確認は必須。区は多言語版を含む最新の水害ハザードマップ(2025年改訂)を公開しています。住まい探しでは浸水想定・避難建物・地盤を一緒にチェックしましょう。
こんな方におすすめ
“和の情緒×水辺”の散歩や写真が好き
映画や漫画の舞台を日常の風景として楽しみたい
空港アクセスと日常利便を両取りしたい